島根県の土産物店で、太くて立派なちくわのような「あご野焼き」を見かけたことはありませんか。
あご野焼きは、トビウオのすり身に地酒などを加え、棒に巻きつけて焼き上げる水産練り製品です。
松江市や出雲市をはじめとする島根県東部で受け継がれ、香ばしい焼き目と弾力のある食感で親しまれてきました。
ここでは、あご野焼きの特徴や歴史、ちくわとの違い、製法、おいしい食べ方、購入先を紹介します。
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島根県のあご野焼きとは?
トビウオのすり身を焼き上げた島根県東部の名物
あご野焼きは、主にトビウオのすり身を太い棒状に巻き、回しながら焼き上げる練り物です。
農林水産省の「にっぽん伝統食図鑑」では、主な伝承地域として松江市と出雲市を含む島根県東部が挙げられています。
日本海では5月から9月ごろにトビウオが多く漁獲され、その恵みを生かす加工品として地域に根づいてきました。
製品によって地酒や地伝酒、粕取り焼酎などが使われ、魚のうま味に酒の風味と焼き目の香ばしさが重なります。
ちくわより太く、肉厚で歯応えが強い
あご野焼きは中央に穴があり、外見はちくわによく似ています。
ただし、一般的なちくわより太く肉厚に作られ、しっかりとした弾力と噛み応えがあるのが特徴です。
噛むほどにトビウオのうま味やほのかな甘味が感じられ、表面の焼けた薄皮も味と食感のアクセントになります。
原料の魚や調味料、トビウオの配合割合は商品によって異なるため、選ぶときは商品名だけでなく原材料表示も確認するとよいでしょう。
「あご野焼き」という名前の由来
「あご」はトビウオを指す地域の呼び名
山陰地方などでは、トビウオを「あご」と呼びます。
「あごが落ちるほどおいしい魚だったため」という説も紹介されていますが、呼び名の由来は一つに確定しているわけではありません。
島根県ではトビウオを焼き干しやだしだけでなく、すり身にして味わう食文化も育ってきました。
屋外で焼いたことが「野焼き」の由来といわれる
島根県の公式観光情報では、暖かい季節に火のそばで行う作業を屋外ですることが多かったため、「野焼き」と呼ばれるようになったと紹介されています。
かつての松江では、初夏になるとかまぼこ店から野焼きの香りが漂い、季節の風物詩になっていたそうです。
あご野焼きの歴史と松江の食文化
漁師が作った保存食を起源とする説がある
冷蔵や製氷の設備がなかった時代、漁師が浜で獲れたてのトビウオをすり身にし、竹に巻いて焼いてから保存食として持ち帰ったのが始まりとされています。
この素朴な製法から、あご野焼きは「かまぼこの原型」といわれることもあります。
漁師の保存の工夫と地域の魚加工技術のなかで形づくられた伝統食として、現在まで受け継がれてきました。
江戸時代には松江藩主も食べたと伝わる
あご野焼きの歴史は古く、農林水産省の資料では、江戸時代に松江藩主も食べた地域の伝統食とされています。
出雲地方で古くから使われた料理酒「地伝酒」をすり身に練り込み、魚のうま味を引き出す作り方も受け継がれてきました。
地伝酒は清酒より色が濃く、甘味を持つ発酵調味料です。
現在は地伝酒だけでなく、日本酒や焼酎などを使う商品もあり、製造元によって香りや味わいが異なります。
認証基準を設けて品質を守ってきた
戦後はトビウオの漁獲量の減少や食生活の変化を受け、老舗かまぼこ店の廃業や製造工程の機械化が進みました。
島根県は2001年に「あご野焼きの認証基準」を定め、地域の伝統的な食品を守る取り組みを進めています。
松江市の青山蒲鉾店が製造する「地伝酒あご野焼」は、地域食品ブランド「本場の本物」の認定も受けています。
あご野焼きはどのように作られる?
トビウオをすり身にして地酒などを加える
伝統的な製法では、トビウオの頭や内臓、皮、骨などを丁寧に取り除き、身をすりつぶします。
塩や地酒などを加えてよく練ることで、まとまりのあるすり身に仕上げます。
トビウオは季節によって脂の乗り方や身の粘りが変わるため、製造元では状態を見ながら練り方や味付けを調整します。
太い心棒に巻きつけてじっくり焼く
練り上げたすり身は、長い金属製の心棒に厚く巻きつけます。
焼いている途中には、針が多数ついた「突き立て棒」などで表面に細かな穴を開けます。
穴を開けるのは、肉厚なすり身の中まで熱を通しやすくし、表面が破裂したり薄皮がはがれたりするのを防ぐためです。
心棒を回しながら時間をかけて焼くことで、外側は香ばしく、中は弾力のある食感に仕上がります。
現在は製造元によって機械焼きと炭火焼きがあり、原料や調味料、太さにも違いがあります。
あご野焼きのおいしい食べ方
まずは輪切りにしてそのまま味わう
初めて食べる場合は、食べやすい厚さの輪切りにし、そのまま味わうのがおすすめです。
トビウオのうま味、酒の香り、皮の香ばしさ、しっかりした歯応えを一度に楽しめます。
松江では日々の食卓だけでなく、来客時のお茶請けや子どものおやつとしても食べられてきました。
軽く炙ると焼き目の香りが引き立つ
冷蔵したあご野焼きは、食べる分だけ切り、フライパンやオーブントースターで軽く温めると香ばしさが増します。
加熱しすぎると水分が抜けて硬くなることがあるため、表面をさっと温める程度にするとよいでしょう。
味がしっかりついているので何もつけずに食べられますが、わさび醤油やマヨネーズを少量添える食べ方もあります。
日本酒やビールの肴にするほか、細く切ってサラダや和え物に加えるのも一つの楽しみ方です。
松江市であご野焼きを購入できる店
青山蒲鉾店
青山蒲鉾店は、享保12年(1727年)創業の老舗です。
島根県産の炭を使い、昔ながらの炭火焼きであご野焼きを製造しています。
地伝酒を使った商品と粕取り焼酎を使った商品があり、サイズも複数用意されています。
・店舗名:青山蒲鉾店
・住所:島根県松江市中原町88
・電話番号:0852-21-2675
・営業時間:8:00~19:00
・定休日:木曜日、日曜日
・アクセス:一畑電車「松江しんじ湖温泉駅」から徒歩約2分
・特徴:あご野焼きや地伝酒あご野焼などを製造・販売する老舗かまぼこ店
営業時間や休業日は変更される場合があるため、訪問前に店舗公式サイトまたは電話で最新情報を確認してください。
青山蒲鉾店の公式サイトには、島根県物産観光館、日比谷しまね館、高島屋の一部店舗も取扱店として掲載されています。
ただし、店舗によって扱う商品の種類や在庫が異なるため、目当ての商品がある場合は事前確認がおすすめです。
あご野焼きの炭火焼き体験は現在休止中
松江観光協会の観光案内では、青山蒲鉾店であご野焼きの炭火焼き体験ができると紹介されています。
一方、青山蒲鉾店の公式ページには、現在は野焼き体験を休止していると明記されています。
体験の再開時期は確認できないため、体験を目的に出かける場合は、店舗公式ページで最新の案内を確認してください。
青山蒲鉾店周辺の観光スポット
国宝 松江城
・観光地名:国宝 松江城
・住所:島根県松江市殿町1-5
・電話番号:0852-21-4030
・開館時間:4月~9月は8:30~18:00、10月~3月は8:30~17:00
・受付時間:閉館30分前まで
・定休日:無休
・青山蒲鉾店からのアクセス:約0.8km、徒歩約15分
松江城は、江戸時代以前に建てられた天守が残る国宝の城です。
黒い下見板張りの外観が印象的で、天守の最上階からは松江の城下町や宍道湖方面を見渡せます。
青山蒲鉾店で土産を購入した後に歩いて向かえるため、松江の食文化と城下町の歴史を続けて楽しめます。
小泉八雲記念館
・観光地名:小泉八雲記念館
・住所:島根県松江市奥谷町322
・電話番号:0852-21-2147
・営業時間:4月~9月は9:00~18:00、10月~3月は9:00~17:00
・受付時間:閉館30分前まで
・定休日:年中無休(展示替えや施設点検による臨時休館あり)
・青山蒲鉾店からのアクセス:約1.2km、徒歩約20分
小泉八雲記念館では、松江にゆかりの深い作家・小泉八雲の生涯や作品を、遺愛品や資料を通して紹介しています。
隣には小泉八雲旧居があり、周辺の塩見縄手では城下町らしい景観も楽しめます。
松江城とあわせても半日ほどで巡りやすく、青山蒲鉾店から徒歩圏内の観光地です。
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あご野焼きに関するよくある質問(FAQ)
あご野焼きの旬はいつですか?
原料となるトビウオの漁期は、おおむね5月から9月です。
農林水産省は6月から7月ごろのトビウオについて脂が乗る時期と紹介し、青山蒲鉾店では5月から7月に島根県沖で獲れるトビウオを使うと案内しています。
製造元によっては旬に加工した原料を冷凍保存して使うため、商品は旬以外にも販売されますが、在庫や製造状況は各店で確認してください。
楽天市場で寿隆蒲鉾の「地伝酒入りあご野焼3個セット」を購入できる
楽天市場に出店している「山陰・島根 寿隆かまぼこ」では、「地伝酒入りあご野焼3個セット」を購入できます。
寿隆蒲鉾は、島根県松江市東出雲町に本社を置く水産練り製品の製造会社です。
この商品は、トビウオのすり身に山陰地方で古くから使われてきた「出雲地伝酒」を加え、香ばしく焼き上げています。
出雲地伝酒を練り込むことで魚のうま味に深みが加わり、焼き色の照りとふっくらした食感も楽しめるのが特徴です。
1995年の全国蒲鉾品評会では、農林水産大臣賞を受賞しています。
1本約270gの地伝酒入りあご野焼が3個入っているため、自宅用として味わうほか、家族や友人と分けたい場合にも選びやすいセットです。
要冷蔵の商品で、公式情報では賞味期限が9日間と案内されています。
価格、在庫、送料、配送可能地域などは変わる場合があるため、注文前に楽天市場の商品ページで最新情報を確認してください。

あご野焼きの賞味期限はどのくらいですか?
賞味期限は製造元や商品、季節によって異なります。
楽天市場で販売されている寿隆蒲鉾の「地伝酒入りあご野焼3個セット」は、賞味期限9日間、要冷蔵(1~10℃)と案内されています。
商品によって期限や保存条件が異なるため、購入後はパッケージの表示に従って保存してください。
あご野焼きとあごすまきの違いは何ですか?
あご野焼きはすり身を棒に巻きつけて焼くため、表面に香ばしい焼き目がつきます。
あごすまきはトビウオのすり身を蒸して仕上げるかまぼこで、焼き目がなく、魚の味をより素直に感じやすい商品です。
製造元によって原材料や味付けが異なるため、食べ比べると違いが分かりやすいでしょう。
まとめ
あご野焼きは、トビウオのすり身に地酒などを加え、太い棒に巻きつけて焼き上げる島根県東部の名物です。
ちくわに似た姿をしていますが、肉厚で弾力があり、魚のうま味と焼き目の香ばしさをじっくり味わえます。
漁師がトビウオを保存するために竹へ巻いて焼いたことが始まりとされ、江戸時代には松江藩主も食べたと伝わっています。
そのまま輪切りにするほか、軽く炙ったり、わさび醤油を添えたりしても楽しめます。
松江では老舗の青山蒲鉾店などで購入でき、楽天市場では寿隆蒲鉾の「地伝酒入りあご野焼3個セット」を取り寄せることも可能です。
松江を訪れた際は、歯応えや酒の香りが異なる商品を見比べ、自分好みのあご野焼きを探してみてはいかがでしょうか。


