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島根県の郷土料理「黒田せりとほうれんそうのおひたし」とは?歴史や旬、作り方を紹介

島根県の郷土料理黒田せりとほうれんそうのおひたし

島根県松江市には、江戸時代から受け継がれてきた「黒田せり」という郷土野菜があります。

香りがよく、アクが少ない黒田せりをほうれんそうと合わせた料理が「黒田せりとほうれんそうのおひたし」です。

鮮やかな緑色とシャキシャキとした歯ごたえを楽しめる、松江の冬らしい家庭料理として親しまれてきました。

ここでは、黒田せりの特徴や名前の由来、栽培の歴史、旬、家庭で作るときのポイントを紹介します。

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黒田せりとほうれんそうのおひたしとは?

松江市の伝統野菜を使った冬の家庭料理

黒田せりとほうれんそうのおひたしは、島根県松江市を主な伝承地域とする郷土料理です。

主役となる黒田せりは、松江市黒田町周辺で栽培されてきた伝統野菜です。

独特のさわやかな香りとシャキシャキした食感があり、一般的なせりに比べてアクが少ないとされています。

その持ち味を生かすには、おひたしや和え物、椀物のような簡素な料理がよく合います。

この料理では、香りの強い黒田せりに、味わいの穏やかなほうれんそうを組み合わせます。

農林水産省「うちの郷土料理」で紹介されている割合は、ほうれんそう7に対して黒田せり3です。

黒田せりの風味を残しながらも食べやすくなり、日々の副菜として取り入れやすい一品に仕上がります。

味と食感の特徴

黒田せりから立つ青々とした香りと、ほうれんそうのやわらかな味わいを一緒に楽しめます。

だし汁、みりん、淡口醤油を合わせた浸し地を使うため、味付けは比較的あっさりしています。

食感を左右するのは、ゆで時間です。

黒田せりを長く加熱すると、持ち味である歯ごたえが失われやすくなります。

さっと火を通して冷水に取り、水気を絞ってからだしに浸すのが大切です。

黒田せりの名前の由来と栽培の歴史

「黒田」は江戸時代の地名に由来する

「黒田せり」の黒田は、江戸時代に黒田村と呼ばれていた地域の名に由来します。

現在の松江市黒田町一帯は、かつて宍道湖から続く沼沢地で、野生のせりが多く自生していたと伝わっています。

JAしまねが紹介する明治39年刊行の『法吉名勝案内』にも、この地に自生していたせりを採って栽培したことが始まりと記されています。

料理名にある「黒田」は人名ではなく、せりが育てられてきた土地を示す名前なのです。

松江藩主の奨励を受けて栽培が始まったとされる

黒田せりの栽培は、松江藩第5代藩主・松平宜維の時代にさかのぼるとされています。

松平宜維が有用植物の生産を奨励し、その助言を受けて地域に自生するせりの改良と栽培が進められたと伝わっています。

ただし、藩政時代には厳寒期の水田に入って収穫しなければならず、栽培する家や面積は限られていました。

一般への栽培と食用が広がったのは、明治維新以降とされています。

冬の水田で行われた厳しい収穫作業

黒田せりは、水を張った田で育てられてきました。

かつての収穫は、冬の冷たい水田に素手や素足で入って行う過酷な作業でした。

JAしまねの資料には、体を温めるための湯桶、木製の田靴、ブリキ製のせり田靴などが工夫され、時代とともに作業の負担が軽くなっていった経緯が紹介されています。

冬の水田でせりを採る光景は地域の風物詩でしたが、宅地化などによって栽培する田が減り、生産農家も少なくなっています。

農林水産省によると、生産量が少ないため、収穫された黒田せりのほとんどは島根県内で消費されています。

松江市では、この伝統野菜を次代へ残すため、新たな栽培者を見つける取り組みも進められています。

黒田せりの旬と松江の冬の食文化

収穫時期は11月から3月初めごろ

黒田せりの収穫時期は、例年11月から3月初めごろです。

とくに年末から正月初めにかけて出荷のピークを迎えます。

松江では、おひたしのほか、鍋物、椀物、ごま和え、白和えなどに使われ、冬の食卓を彩ってきました。

黒田せりの生産者を取材した「松江のこしらへ」では、さっと湯に通して食感を残すことが大切だと紹介されています。

採れたての黒田せりが手に入ったら、濃い味付けで覆うよりも、香りと歯ごたえを生かす料理に使うと持ち味を楽しみやすいでしょう。

正月の健康を願って食べる「正月セリ」

地元では、風邪をひかずに冬を過ごせるよう願って、正月にせりを食べる習慣もあります。

農林水産省では、こうした食べ方を「正月セリ」として紹介しています。

寒さの中で育つ黒田せりは、単なる冬野菜ではなく、新しい年の健康を願う食文化とも結び付いてきました。

家庭で作る黒田せりとほうれんそうのおひたしの作り方

島根県の郷土料理黒田せりとほうれんそうのおひたし

材料

農林水産省「うちの郷土料理」で紹介されている分量を参考にしています。

・黒田せり:60g

・ほうれんそう:140g

・だし汁:90ml

・みりん:15ml

・淡口醤油:15ml

黒田せりが手に入らない場合は、市販のせりでも作れます。

農林水産省のページでは、三つ葉を代用品として使う方法も紹介されています。

ただし、香りや食感は黒田せりを使った場合とは異なります。

作り方

1:黒田せりとほうれんそうの根元を落とし、土や汚れが残らないように水でよく洗います。

2:食べやすい4~5cmほどの長さに切ります。

3:鍋にたっぷりの湯を沸かし、黒田せりとほうれんそうをさっとゆでます。

4:すぐに冷水へ取り、粗熱が取れたら水気をしっかり絞ります。

5:だし汁、みりん、淡口醤油を合わせ、浸し地を作ります。

6:ゆでた黒田せりとほうれんそうを浸し地に入れ、冷蔵庫で一晩なじませます。

7:器に盛り、浸し地を少量かけて仕上げます。

シャキシャキした食感を残すポイント

最も大切なのは、黒田せりをゆですぎないことです。

黒田せりは短時間で火が通るため、やわらかくなるまで煮る必要はありません。

農林水産省も短時間でゆでるよう案内しており、生産者への取材記事では、湯に通す時間を3~5秒程度にしている例も紹介されています。

ただし、家庭の火力や一度にゆでる量によって適切な時間は変わります。

茎の歯ごたえが残るところで引き上げ、すぐに冷水へ取ると仕上がりが安定します。

また、洗った後やゆでた後に水分が多く残ると、浸し地の味が薄まりやすくなります。

葉や茎をつぶさない程度に、手で水気を絞ってから浸してください。

黒田せりとほうれんそうのおひたしに関するよくある質問(FAQ)

黒田せりはどこで購入できますか?

生産量が少なく、その多くが島根県内で消費されているため、全国のスーパーで常時購入できる野菜ではありません。

旬の時期には、松江市内のスーパーマーケットや農産物直売所などで販売されることがあります。

入荷時期や在庫は天候や収穫量によって変わるため、遠方から訪れる場合は各店舗へ事前に確認すると安心です。

黒田せりがないと郷土料理として作れませんか?

黒田せりならではの香りや地域性を味わう料理ですが、家庭では一般的なせりでも代用できます。

せりそのものを入手できない場合は、三つ葉を使う方法もあります。

代用品を使えば黒田せり特有の風味とは異なるものの、香味野菜とほうれんそうを合わせる料理の特徴は楽しめます。

ほうれんそうを多く入れるのはなぜですか?

せりの香りや風味は、食べ慣れていない人には強く感じられることがあります。

ほうれんそうを多めに合わせることで香りが穏やかになり、食べやすい味にまとまります。

初めて作るときは、農林水産省が紹介する「ほうれんそう7:せり3」を目安にし、好みに応じて割合を調整するとよいでしょう。

まとめ

黒田せりとほうれんそうのおひたしは、松江市黒田町で受け継がれてきた黒田せりを味わう冬の郷土料理です。

黒田せりは、かつて沼沢地だった土地に自生するせりをもとに、江戸時代から改良と栽培が続けられてきたと伝わっています。

ほうれんそうと合わせることで独特の香りがほどよく和らぎ、だしを含んだやさしい味わいとシャキシャキした食感を楽しめます。

生産量が限られる希少な野菜ですが、その歴史を知ると、一皿のおひたしにも松江の風土や冬の暮らしが息づいていることが分かります。

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参考にした公式・関連資料

農林水産省「うちの郷土料理 黒田せりとほうれんそうのおひたし 島根県」

松江のこしらへ「松江の冬には黒田せり」

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