柿なますは、細く切った大根やかぶ、人参に干し柿を加え、甘酢で和えた島根県の郷土料理です。
なますのさっぱりとした酸味に干し柿のやさしい甘みが重なり、一般的な紅白なますとはひと味違う味わいを楽しめます。
赤や橙色の干し柿と人参、白い大根やかぶを組み合わせた見た目も華やかです。
紅白の色合いがおめでたいとされ、島根県では祝宴や正月の料理として親しまれてきました。
ここでは、柿なますの特徴や島根県の柿との関係、地域や家庭による違い、家庭で作る方法などを紹介します。
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島根県の郷土料理・柿なますとは?
干し柿の甘みを生かした酢の物
柿なますの基本となるのは、大根や人参で作るなますに、細く切った干し柿を加えたものです。
農林水産省「うちの郷土料理」では、干し柿、大根またはかぶ、人参などが主な食材として挙げられています。
砂糖だけに頼らず、干し柿から出る果実の甘みを味わえるのが特徴です。
大根やかぶの歯ざわり、酢の酸味、干し柿のねっとりとした食感が合わさり、箸休めにも向く一品に仕上がります。
島根県内全域に伝わる料理
柿なますの主な伝承地域は、島根県内全域です。
ただし、材料や切り方、合わせ酢の配合は地域や家庭によって異なります。
大根を使う家庭もあれば、かぶを使う地域もあり、干し柿ではなく生柿を加える作り方もあります。
決まった一つのレシピだけが正解という料理ではなく、その土地で手に入る食材や家ごとの味を受け継いできた家庭料理です。
柿なますが島根県で受け継がれてきた背景
島根県を代表する果物・西条柿
島根県は、中国地方特有の品種である西条柿の産地として知られています。
県の資料によると、西条柿は出雲市を中心に広く栽培され、主な出荷時期は10月から11月です。
果実には縦に溝があり、砲弾のような形をしています。
その姿が打ち出の小槌を連想させることから、島根県産の西条柿は「こづち」の愛称でも出荷されています。
西条柿はもともと渋柿ですが、渋抜きをすると強い甘みとなめらかな食感を楽しめます。
干し柿にも適しており、島根県内では自然乾燥させたころ柿や、半生のあんぽ柿なども作られてきました。
干し柿を料理に生かす食文化
収穫した柿を干すことは、旬の果実を冬にも味わうための知恵の一つです。
農林水産省の資料では、島根県で伝わる柿の食べ方として、干し柿のほか、あわし柿、漬け柿、柿の天ぷらなどが紹介されています。
柿なますも、干し柿を日々の料理や行事食に生かす食べ方の一つとして受け継がれてきました。
一方で、柿なますを誰がいつ考案したのかを示す確かな資料は確認できません。
特定の考案者や発祥年を持つ料理というよりも、柿の産地に暮らす人々の食生活のなかで伝えられてきた郷土料理といえます。
柿なますが祝いの席や正月に食べられる理由
赤や橙色と白色がおめでたい紅白を表す
干し柿や人参の赤みを帯びた色と、大根やかぶの白色を合わせた柿なますは、紅白の鮮やかな料理です。
紅白は祝い事に用いられる色であることから、柿なますも祝宴や正月の定番料理の一つとして親しまれてきました。
島根県がまとめた浜田地域の郷土料理資料でも、祝いの席や正月に食べる料理として紹介されています。
煮物や焼き物などが並ぶ正月の食卓に加えると、甘酸っぱい味が口の中をさっぱりさせ、鮮やかな色が膳を明るく見せてくれます。
地域や家庭によって異なる柿なます
大根の代わりにかぶを使うことがある
柿なますは、大根だけでなく、かぶでも作れます。
浜田地域の郷土料理資料には、かぶ、人参、干し柿を、酢、砂糖、塩、薄口しょうゆで和える作り方が掲載されています。
かぶを使うと、大根とは異なるやわらかな歯ざわりを楽しめます。
生柿を使う作り方もある
干し柿を使うのが島根県の柿なますの代表的な形ですが、生柿を酢の物に加える場合もあります。
生柿は色が鮮やかなため、人参を使わず、柿と大根またはかぶだけで仕上げることもできます。
干し柿を使うと凝縮した甘みとねっとりした食感が加わり、生柿を使うとみずみずしさと歯ざわりが感じられます。
柚子の皮を添えれば、さわやかな香りも加わります。
隠岐にはするめいかを加えたなますもある
島根県隠岐地域の資料には、大根、人参、きゅうり、柿に、錦糸卵、するめいか、ごまを加える作り方が紹介されています。
地元でとれたするめいかを使うことで、隠岐らしい食材の組み合わせになります。
このように、ひと口に柿なますといっても、島根県内で材料や味わいに違いがあります。
家庭で作る柿なますの作り方

材料(4人分)
・大根:200g
・人参:1/4本
・干し柿:1個
・水:3カップ
・塩:大さじ1(塩水用)
・酢:大さじ1
・砂糖:大さじ1
・塩:少々(合わせ酢用)
この分量は、農林水産省「うちの郷土料理」に掲載されている、島根県食生活改善推進協議会提供のレシピを参考にしています。
柿なますの作り方
1:大根は皮をむき、長さ5cm、幅1cmほどの薄い短冊切りにします。
2:人参も大根と同じような長さと幅に切ります。
3:ボウルに水3カップと塩大さじ1を入れて塩水を作り、大根と人参を加えて、しんなりするまで置きます。
4:干し柿を縦半分に切り、種を取り除いてから千切りにします。
5:大根と人参がしんなりしたら、手でしっかりと水気を絞ります。
6:別の容器で酢、砂糖、塩少々を混ぜ、合わせ酢を作ります。
7:大根、人参、干し柿を合わせ酢で和え、全体に味をなじませます。
水気をよく絞るのが大切
大根や人参に水分が多く残っていると、合わせ酢が薄まり、味がぼやけやすくなります。
野菜がしんなりしたら、形を崩さないようにしながら、しっかり水気を絞るのがポイントです。
干し柿は、へたや種が残っていないか確かめてから切ります。
材料を和えた後は、すぐに食べるよりも冷蔵庫でしばらく置き、味をなじませるとよいでしょう。
柿なますを作った人のネットの口コミ・感想まとめ
かたい干し柿は味をなじませる時間を取る
干し柿のなますを作ったレシピ投稿者からは、やわらかいあんぽ柿を使った場合は比較的すぐに食べられる一方、かたい干し柿は合わせ酢となじませてから食べるとよいという工夫が紹介されています。
別の調理体験では、乾燥してかたくなった柿のドライフルーツでも、大根や酢と和えるうちにやわらかくなったと記されています。
干し柿のかたさに応じて、食べるまでの時間を調整すると食感を整えやすくなります。
水気の絞り方と混ぜ方で仕上がりが変わる
生柿を使って柿なますを作った投稿では、塩もみした大根の水気をしっかり絞ることで、すし酢と砂糖がほどよくなじんだという感想がありました。
干し柿を使ったレシピの投稿者は、混ぜすぎると大根の白い部分に柿の色が移りやすいとして、さっと和える方法を紹介しています。
紅白の見た目をきれいに残したい場合は、野菜の水気を切ったうえで、干し柿を加えてから必要以上に混ぜないことがポイントです。
黒酢や柚子果汁を加えた感想もある
干し柿入りのなますを黒酢で作った人からは、甘みが強く、デザートのような感覚でも食べられたという感想が寄せられています。
別の投稿では、柚子果汁を少し足しておいしく仕上がったという感想がありました。
また、正月料理として作った人からは、味の濃い料理の合間の箸休めになったという声も見られます。
酢の種類や柑橘の加え方によって印象が変わるため、まずは基本の合わせ酢で作り、好みに応じて少量ずつ加え、味を確かめながら調整してください。
参考にしたサイトやブログ
・楽天レシピ「干し柿のなます」
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1460011120/
・楽天レシピ「柿なます」
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1020017984/
・DELISH KITCHEN「干し柿なますのレビュー」
https://delishkitchen.tv/recipes/271383468938625509/reviews
・レシピサイトNadia「柿なます」
https://oceans-nadia.com/user/21965/recipe/143153
・Tasty repo「『リトル・フォレスト』の柿入りなますを作ろう」
https://coichi.amebaownd.com/posts/5390715/
柿なますに関するよくある質問(FAQ)
西条柿でなければ作れませんか?
西条柿でなくても作れます。
農林水産省に掲載されている島根県のレシピでは、材料は品種を限定せず「干し柿」とされています。
島根県らしさを楽しむなら県内産の西条柿を使った干し柿も選択肢になりますが、手に入る干し柿で作って問題ありません。
柿なますは島根県だけの郷土料理ですか?
柿なますは島根県だけに伝わる料理ではありません。
農林水産省「うちの郷土料理」では、奈良県の郷土料理としても柿なますが掲載されています。
このほかにも、柿の産地を中心に似た料理が伝わっています。
島根県では西条柿や干し柿の食文化と結びつき、県内全域に伝わる料理として位置づけられています。
一般的な紅白なますとの違いは何ですか?
一般的な紅白なますは、主に大根と人参を甘酢で和えて作ります。
柿なますは、そこへ干し柿や生柿を加えるのが大きな違いです。
柿の自然な甘み、果肉の食感、鮮やかな色が加わるため、酸味がやわらかく感じられやすくなります。
まとめ
柿なますは、大根やかぶ、人参、干し柿を甘酢で和えた島根県の郷土料理です。
島根県を代表する西条柿や干し柿の食文化と関わりを持ち、県内全域で受け継がれてきました。
干し柿や人参の赤みを帯びた色と、大根やかぶの白色が紅白を表すことから、祝宴や正月の料理としても親しまれています。
大根をかぶに替える、生柿を使う、隠岐ではするめいかを加えるなど、地域や家庭によって作り方はさまざまです。
まずは大根、人参、干し柿を使った基本の作り方から試し、家庭の好みに合わせて酢や甘みを調整してみてはいかがでしょうか。
参考にした公式・関連資料
・農林水産省「うちの郷土料理 柿なます 島根県」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kakinamasu_shimane.html
・島根県「果樹振興」
https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/seisan/engei_shinkou/kazyu/
・島根県「伝えていきたい はまだの味」
https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/kenko/kenko/syokuiku/recipe/tsutaetaishimanenoryori/hamada-keniki.data/hamadanoaji4.pdf
・島根県「地産地消をすすめよう! 地元食材を使用したおすすめレシピ 秋編」
https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/kenko/kenko/syokuiku/recipe/tsutaetaishimanenoryori/oki-keniki.data/4aki.pdf


