島根県安来市の名物と聞いて、民謡「安来節」のどじょうすくい踊りを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
安来市では踊りだけでなく、どじょうを柳川鍋や唐揚げ、そばなどに仕立てた料理も親しまれています。
市内で養殖される「やすぎどじょう」は、短期間で育てる独自の方法により、骨が比較的やわらかく食べやすいことが特徴です。
一方で、「どじょう料理」という名前の一つの決まった料理があるわけではありません。
昔から受け継がれてきたけんちん汁や甘露煮、広く知られる柳川鍋、観光客も注文しやすい唐揚げやどじょうそばなどを含む呼び方です。
ここでは、島根県安来市のどじょう料理の特徴や歴史、味わい、現在食べられるお店、周辺の観光スポットを紹介します。
【PR】島根県のご当地グルメや郷土料理を楽しむ旅を計画している方は、宿泊先もあわせてチェックしてみてください。クーポンやキャンペーンを利用できる場合もあります。
また、食事とあわせて周辺の観光スポットやレジャー体験を探してみるのもおすすめです。
出雲大社や松江城、石見銀山、玉造温泉などの名所を巡ったり、自然体験やものづくり体験を組み合わせたりすると、島根旅行の楽しみ方がさらに広がります。
島根県安来市のどじょう料理とは?
複数の料理をまとめた安来市の名物
島根県のどじょう料理は、主に県東部の安来市で受け継がれてきた食文化です。
代表的な料理には、どじょうとゴボウなどを煮る柳川鍋、丸ごと揚げる唐揚げ、根菜や豆腐と煮るけんちん汁、甘辛く炊く甘露煮などがあります。
料理ごとに調理法や食感が異なるため、どじょうを初めて食べる人でも好みに合わせて選びやすいのが魅力です。
安来市は市の魚にどじょうを選定しており、安来節や養殖業とともに地域を象徴する存在になっています。
郷土料理と創作ご当地グルメの両面がある
安来市のどじょう料理には、昔から地域で食べられてきた料理と、観光振興のために新しく考案された料理があります。
農林水産省の「うちの郷土料理」では、安来市など島根県東部に伝わる「ドジョウのけんちんじる」が郷土料理として紹介されています。
一方、安来市が2017年に販売を始めた「安来ドジョウ寿司」や、2019年に発表した「安来ドジョウのオムライ寿司」は、地元食材のブランド化を目的に開発された創作ご当地グルメです。
このように、安来のどじょう食文化は伝統的な家庭料理だけでなく、飲食店で楽しむ観光グルメへも広がってきました。
なお、過去に発表された創作料理が現在も同じ店舗で提供されているとは限りません。
目当ての料理がある場合は、訪問前に各店舗へ確認してください。
安来市で親しまれている主などじょう料理
どじょうの柳川鍋
柳川鍋は、どじょうとささがきにしたゴボウなどを割り下で煮る鍋料理です。
卵でとじる作り方も多く、甘辛いだしとゴボウの香りがどじょうの素朴な味を引き立てます。
島根県の公式広報では、安来市内で養殖されたどじょうを使った柳川が、地域を代表する料理の一つとして紹介されています。
安来市の「中海の郷」では柳川定食が提供されており、初めから加熱調理された状態で味わえます。
生きたどじょうを自分で鍋に入れる料理に抵抗がある人にも選びやすい一品です。
どじょうの唐揚げ
唐揚げは、小ぶりなどじょうを丸ごと揚げた料理です。
鍋料理とは異なり、表面の香ばしさと軽快な食感を楽しめます。
「中海の郷」の現在の公式案内にも、どじょうの唐揚げが掲載されています。
頭や骨を含めて食べる料理のため、初めて注文するときは、食べ方を店舗の人に聞くと安心です。
ドジョウがてんてこ舞い鍋
「中海の郷」で提供されている体験型の名物料理です。
熱いだしが入った鍋へ生きたどじょうを入れ、安来産のセリなどと一緒に煮ます。
鍋の中でどじょうが勢いよく動く様子から、「てんてこ舞い鍋」と名付けられています。
食事でありながら、安来ならではの体験もできる料理です。
生きたどじょうを鍋へ入れる工程があるため、苦手な人は柳川鍋や唐揚げを選ぶとよいでしょう。
ドジョウのけんちん汁
ドジョウのけんちん汁は、どじょうとゴボウ、シイタケ、ニンジン、大根、豆腐などを煮る島根県東部の郷土料理です。
味噌仕立てとすまし仕立てがあり、具材や味付けは地域や家庭によって異なります。
かつては田植えを終えた後の「泥落とし」などに食べられ、農作業の疲れをいたわる養生食でもありました。
現在は一般家庭で作られる機会が少なくなり、郷土料理を扱う飲食店などで目にする料理になっています。
どじょうそばや甘露煮
安来市古川町の旅館「竹葉」では、現在のお食事処メニューにどじょうそばが掲載されています。
そばと一緒に味わえるため、足立美術館を訪れた際の昼食にも組み込みやすい料理です。
また、安来ではどじょうを甘辛く煮含める甘露煮も受け継がれてきました。
柳川鍋だけを安来のどじょう料理と考えず、調理法の幅広さにも注目してみてください。
安来市にどじょう料理が根づいた歴史
安来節が生まれる前から食べられていた
安来市では、安来節が成立する以前からどじょうを食べる文化が根づいていたとされています。
農林水産省によると、江戸時代末期に松江藩領内の産物をまとめた資料にも、魚類の一つとしてどじょうが記録されています。
昔の田んぼや川で身近に捕れたどじょうは、農村の食卓を支える食材であり、精をつけるための養生食としても親しまれていました。
初夏の産卵期には脂がのり、夏に出荷の最盛期を迎えます。
どじょうすくい踊りとの関係
安来節のどじょうすくい踊りは、ざるを持ってどじょうを追うようなユーモラスな所作で知られています。
ただし、その動きの由来には複数の説があります。
農林水産省は、砂鉄を選り分ける作業場で働く人々の動きを取り入れ、魚の「ドジョウ」ではなく「土壌」をすくう姿だったとする説を紹介しています。
由来を一つに断定することはできませんが、現在の安来市では、どじょうすくい踊りとどじょう料理の両方が地域の個性を伝える文化になっています。
戦後の養殖から「やすぎどじょう」へ
安来市では戦後にどじょうの養殖が本格化しました。
やすぎどじょう生産組合は1999年度から試験養殖を始め、2003年度から現在につながる体制で本格養殖に取り組んでいます。
稚魚は生産組合で人工ふ化させ、生産者が休耕田などを利用した養殖池で育てます。
安来市の2025年の広報では、稚魚が出荷できる大きさになるまでの育成期間は約3か月と紹介されました。
短期育成された「やすぎどじょう」は骨が比較的やわらかく、丸ごと使う料理に向いています。
農林水産省は安来市を全国有数の産地として紹介しており、養殖と飲食店での提供が地域の食文化を支えています。
安来産どじょうの味や食べやすさ
出荷前に泥抜きされている
どじょう料理を食べたことがない人は、「泥臭くないのか」と気になるかもしれません。
島根県の公式広報によると、安来市内で養殖されたどじょうは出荷前に泥抜きされています。
どじょうの身は淡泊で、柳川鍋ではゴボウやネギ、甘辛いだしの風味と調和します。
ただし、頭のほろ苦さや小骨の感触をどの程度感じるかは、料理法や食べる人の好みによって異なります。
短期育成で骨がやわらかい
やすぎどじょう生産組合や安来市観光協会は、独自の方法で短期間に育てるため、安来産のどじょうは骨がやわらかく食べやすいと紹介しています。
唐揚げや甘露煮では丸ごと、柳川鍋やそばでは骨を取らずに食べる形が一般的です。
骨の感触が心配な場合は、注文前に料理ごとの仕上がりを店舗へ尋ねてください。
カルシウムやビタミンDなどを含む
どじょうは骨まで食べる料理が多く、カルシウムや鉄分、ビタミンDなどを含む食材です。
安来では昔から「ウナギ一匹、ドジョウ一匹」という言葉で滋養のある魚として語られてきました。
これは地域で伝わる言い回しであり、どじょう一匹とウナギ一匹の栄養量が同じという意味で受け取らないようにしましょう。
安来市でどじょう料理を食べられるお店

古民家レストラン 中海の郷
「中海の郷」は、国道9号沿いの「道の駅あらエッサ」に併設された古民家レストランです。
柳川定食、どじょうの唐揚げ、ドジョウがてんてこ舞い鍋など、調理法の異なるどじょう料理を選べます。
予約なしで注文できる店として公式サイトに案内されていますが、品切れや混雑の可能性もあるため、確実に食べたい場合は電話で確認してください。
・店舗名:古民家レストラン 中海の郷
・住所:島根県安来市中海町128-1(道の駅あらエッサ内)
・電話番号:0854-23-2501
・営業時間:11:00~17:30(ラストオーダー17:00)
・定休日:火曜日(祝日の場合は振替あり)
・アクセス:米子西ICから車で約5分、JR安来駅から車で約15分
・駐車場:大型14台、小型98台・無料
・主などじょう料理:柳川定食、唐揚げ、ドジョウがてんてこ舞い鍋
店舗公式サイトでは住所を「中海町128-1」、安来市観光協会と道の駅の案内では施設所在地を「中海町118-1」と掲載しています。
カーナビや地図アプリでは、「古民家レストラン 中海の郷」または「道の駅あらエッサ」の施設名で検索すると見つけやすいでしょう。
さぎの湯温泉 竹葉
「竹葉」は、足立美術館の隣にある温泉旅館です。
宿泊だけでなく昼のお食事処も営業しており、現在の公式案内では、出雲そばや各種定食とともに「どじょうそば」が人気メニューとして掲載されています。
安来市観光協会は予約を推奨しているため、営業日とどじょうそばの提供状況を確認してから訪れると安心です。
・店舗名:さぎの湯温泉 竹葉
・住所:島根県安来市古川町438
・電話番号:0854-28-6231
・昼食営業時間:11:30~14:00(ラストオーダー13:50)
・定休日:月ごとの営業案内で確認
・アクセス:足立美術館から徒歩約30秒
・特徴:温泉旅館のお食事処でどじょうそばを提供、予約推奨
営業時間、休業日、料理の価格や提供状況は変更されることがあります。
訪問前に店舗の公式サイトや電話で最新情報を確認してください。
どじょう料理を提供しているお店の口コミ・感想まとめ
中海の郷の口コミ・感想
中海の郷でどじょう料理を注文した口コミでは、柳川鍋を「あっさりした小魚のような味」と感じた人がいました。
ゴボウやシイタケと甘辛く煮て卵でとじた味付けは、ご飯と合わせやすかったという感想も見られます。
2026年に柳川鍋を食べた個人サイトの投稿では、泥臭さは感じず、身には崩れすぎない食感があったとまとめられていました。
骨は感じるものの取り除くほどではなく、頭付近のほろ苦さを含めて、投稿者は個人的にシシャモに似た食べ心地だと感じています。
これは一人の味覚による感想であり、どじょうの味が必ずシシャモと同じという意味ではありません。
「ドジョウがてんてこ舞い鍋」を食べたウェブマガジンの取材では、どじょうはやわらかく、臭みが気にならなかったと紹介されています。
自分でどじょうを鍋へ入れる工程そのものが、印象に残る体験だったようです。
一方、柳川定食を食べた別の口コミには、小骨やほろ苦さを感じたという意見もあります。
やわらかさや苦味の感じ方は、注文する料理や個人の好みで分かれると考えておくとよいでしょう。
昼食時に10分ほど待ったという投稿もあるため、週末や観光シーズンは時間に余裕を持って訪れてください。
口コミ・感想の作成で参考にしたサイト
・安来日和「安来名物『どじょうの柳川鍋』を実食レビュー」
・食べログ「中海の郷 安来どじょうの柳川定食」
・na-na「中海の郷 ドジョウすくいの郷で食べる名物鍋」
どじょう料理を提供している店舗周辺の観光スポット

道の駅あらエッサ
・観光地名:道の駅あらエッサ
・住所:島根県安来市中海町118-1
・電話番号:0854-23-2510
・営業時間:なかうみ菜彩館9:00~18:00、やすぎ魚々市10:00~18:00、駅中屋台10:00~18:00
・定休日:なかうみ菜彩館・やすぎ魚々市は年末年始、駅中屋台は不定休
・中海の郷からのアクセス:同じ道の駅の敷地内
島根県の東の玄関口に位置し、地元の野菜、魚介類、加工品、土産品などを購入できる道の駅です。
中海の郷で食事をした前後に立ち寄りやすく、安来市内の観光情報も集められます。
情報コーナーとトイレは24時間利用できますが、売店ごとに営業時間や定休日が異なります。
中海ふれあい公園
・観光地名:中海ふれあい公園
・住所:島根県安来市穂日島町143
・電話番号:0854-23-3311(安来市役所建設部土木建設課)
・営業時間:3月~10月8:30~19:00、11月~2月8:30~18:00
・定休日:年中無休
・中海の郷からのアクセス:徒歩約10分が目安
中海と大山を望む芝生広場、高さ約8メートルの築山、複合遊具、1周1,600メートルのランニングコースなどを備えた公園です。
道の駅あらエッサから見えるほど近く、食後の散歩や子ども連れの休憩に向いています。
夜間は駐車場が閉場するため、利用時間に注意してください。
足立美術館
・観光地名:足立美術館
・住所:島根県安来市古川町320
・電話番号:0854-28-7111
・営業時間:4月~9月9:00~17:30、10月~3月9:00~17:00
・定休日:年中無休(新館のみ展示替え休館日あり)
・竹葉からのアクセス:徒歩約30秒
横山大観をはじめとする近代日本画や北大路魯山人の作品、日本庭園を鑑賞できる安来市の代表的な観光地です。
竹葉でどじょうそばを食べる場合は、午前に美術館を鑑賞してから昼食へ向かう流れを組みやすいでしょう。
新館のみ展示替えのため休館する日があるので、現代日本画の展示も見たい場合は公式サイトを確認してください。
安来節演芸館
・観光地名:安来節演芸館
・住所:島根県安来市古川町534
・電話番号:0854-28-9500
・営業時間:10:00~17:00
・定休日:火曜日(祝日と重なった場合は翌日)
・竹葉からのアクセス:徒歩約3分
安来節の唄、銭太鼓、どじょうすくい踊りを本場で鑑賞できる施設です。
土曜日・日曜日・祝日を中心に1日2回公演が行われ、各回では人数限定のどじょうすくい体験も用意されています。
平日は通常公演がない場合があるため、食事と組み合わせる際は公演日と時間を確認してください。
【PR】観光スポットを複数回る予定なら、レンタカーもあわせて確認しておくと、当日の移動がスムーズです。
どじょう料理に関するよくある質問(FAQ)
生きたどじょうを鍋に入れずに食べられる料理はありますか?
あります。
中海の郷では、調理済みの柳川定食やどじょうの唐揚げも案内されています。
竹葉ではどじょうそばが提供されているため、生きたどじょうを自分で扱う料理が苦手な人にも選択肢があります。
提供状況は仕入れなどにより変わる可能性があるので、希望する料理が決まっている場合は事前に店舗へ確認してください。
まとめ
島根県安来市のどじょう料理は、柳川鍋、唐揚げ、けんちん汁、甘露煮、そばなど、さまざまな調理法を含む地域の食文化です。
安来節のどじょうすくい踊りで知られる地域ですが、どじょうを食べる習慣は安来節が生まれる以前から根づいていました。
戦後に養殖が本格化し、現在は休耕田などを活用して育てる「やすぎどじょう」が地域の名物を支えています。
初めてなら甘辛いだしと卵で味わう柳川鍋や、香ばしい唐揚げが選びやすいでしょう。
安来ならではの体験も楽しみたい人には、どじょうを自分で鍋に入れる「ドジョウがてんてこ舞い鍋」という選択肢もあります。
足立美術館や安来節演芸館などの観光と組み合わせながら、安来の歴史と食文化を味わってみてください。
参考にした公式・関連資料
・農林水産省 うちの郷土料理「ドジョウのけんちんじる 島根県」
・安来市観光ガイド「安来節・どじょうの町」
・安来市観光ガイド「どじょう料理」
・島根県「身土不二・いのち育む郷土の味」


