山口県萩市には、はすいもの葉柄と焼いたアジを合わせ酢で和える「はすいもの酢の物」が伝わっています。
はすいもを生のまま使うため、シャリシャリとした独特の歯ざわりを楽しめるのが特徴です。
「はすいもは、どの部分を食べるの?」「なぜアジと一緒に和えるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。
ここでは、はすいもの酢の物の特徴や萩市で受け継がれてきた背景、家庭での作り方を紹介します。
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山口県萩市の郷土料理「はすいもの酢の物」とは
生のはすいもと焼いたアジを合わせた酢の物
はすいもの酢の物は、皮をむいて薄く切ったはすいもと、焼いて身をほぐしたアジを合わせ酢で和える料理です。
仕上げには、小口切りにした細ねぎをのせます。
主に食べるのは、芋ではなく茎のように伸びた葉柄の部分です。
葉柄の断面にはレンコンを思わせる小さな穴があり、皮をむいて水にさらし、アクを抜いてから使います。
シャリシャリとした食感が清涼感を生む
この料理の大きな特徴は、はすいもを煮たり炒めたりせず、生のまま使うことです。
火を通さないため、はすいも特有のシャリシャリとした歯ざわりが残ります。
そこへ焼いたアジの身と、酢、しょうゆ、砂糖などを合わせた調味料が加わり、魚の風味を生かしたさっぱりとした一品に仕上がります。
暑い時期でも食べやすく、萩市では夏の家庭料理として親しまれてきました。
はすいもの酢の物が萩市で受け継がれてきた背景
はすいもとアジがそろう夏の家庭料理
農林水産省では、はすいもの酢の物の主な伝承地域を萩市としています。
はすいもは夏になると地域のスーパーマーケットにも並ぶ食材で、同じく夏に旬を迎えるアジと一緒に使われてきました。
旬の野菜と身近な魚を一皿で味わえる、夏らしい組み合わせです。
一方、確認できる公的資料には、考案者や料理が生まれた年代の記載はありません。
農林水産省では、特定の祭りや祝い事との関係ではなく、季節の食材を使った日常のおかずとして紹介されています。
萩のアジを焼いて使うのが特徴
アジは萩を代表する水産物の一つです。
萩近海には「瀬」と呼ばれる天然礁や岩礁が多く、その周辺に居着いて育ったマアジは「瀬つきあじ」と呼ばれています。
瀬つきあじの旬は4月から8月で、はすいもの酢の物が食べられる夏の時期とも重なります。
ただし、農林水産省が公開している郷土料理の材料は「アジ」とされており、瀬つきあじを必ず使うという決まりはありません。
料理そのものの伝承と、一定の基準を満たすブランド魚は分けて考える必要があります。
家庭だけでなく地域の食育にもつながっている
農林水産省に掲載されたレシピは、萩元気食の会が提供したものです。
萩元気食の会は、家庭、学校、農林漁業者などが連携する「萩市の食育を支える会」の構成団体にもなっています。
はすいもの酢の物は家庭で作られるほか、萩市内の飲食店でも提供されていると農林水産省は紹介しています。
家庭の味を記録して公開する地域団体の活動も、萩の食文化を次の世代へ伝える土台になっています。
他地域のはすいもの酢の物との違い
萩市ではアジ、徳島県南部では太刀魚を合わせる
はすいもは山口県だけの食材ではなく、高知県や徳島県、沖縄県などでも育てられています。
農林水産省によると、徳島県南部にも「はすいもの茎の酢の物」が伝わっています。
萩市では焼いたアジと細ねぎを使うのに対し、徳島県南部では太刀魚を合わせ、すだち酢やゆず酢、みょうが、青じそなどを使う作り方があります。
はすいもの食感を酢の物で生かす点は共通していますが、一緒に使う魚や香味野菜には違いがあります。
同じはすいもでも、それぞれの土地の魚や柑橘と組み合わせることで、地域ごとに異なる食文化が育まれてきたことがうかがえます。
家庭で作るはすいもの酢の物の作り方

材料(4人分)
・はすいも:250g
・アジ:120g
・細ねぎ:少々
・酢:大さじ2~3
・塩:大さじ1/3
・しょうゆ:大さじ1~1と1/2
・砂糖:小さじ2~大さじ1
分量は、農林水産省に掲載されている萩元気食の会提供のレシピをもとにしています。
地域や家庭によって、合わせ酢の配合などは異なります。
作り方
1:はすいもの皮をむいて薄く切り、水にさらしてアクを抜きます。
2:アジを焼き、身をほぐしながら骨を丁寧に取り除きます。
3:酢、塩、しょうゆ、砂糖を混ぜて、合わせ酢を作ります。
4:はすいもの水気をよく切り、ほぐしたアジと一緒に合わせ酢で和えます。
5:器に盛り、小口切りにした細ねぎをのせます。
水っぽくしないためのポイント
はすいもは水にさらした後、しっかりと水気を切ることが大切です。
さらに、合わせ酢で和えてから時間を置くと水分が出やすいため、食べる直前に和えます。
アジは身の中に小骨が残らないよう、ほぐす際に丁寧に確認しましょう。
酢や砂糖の量には幅があるため、家庭の好みに合わせて酸味と甘みを調整できます。
はすいもの酢の物に関するよくある質問(FAQ)
はすいもはレンコンや里芋の芋部分ですか?
はすいもは里芋の仲間ですが、この料理では茎のように見える葉柄を食べます。
断面に小さな穴があるためレンコンにも似ていますが、レンコンとは異なる野菜です。
瀬つきあじを使わなければ作れませんか?
瀬つきあじでなければ作れない料理ではありません。
農林水産省のレシピでも、材料は特定のブランドを指定しない「アジ」となっています。
一般に流通しているアジを焼いて使えます。
まとめ
はすいもの酢の物は、山口県萩市に伝わる夏の家庭料理です。
生のはすいもが生むシャリシャリとした食感と、焼いたアジ、合わせ酢のさっぱりとした味わいを一緒に楽しめます。
農林水産省では、特定の行事食ではなく、夏に手に入る野菜と魚を生かした日常のおかずとして紹介されています。
徳島県南部では太刀魚や柑橘の酢を使うなど、同じはすいもの酢の物にも地域差があります。
家庭で作るときは、はすいもの水気をよく切り、食べる直前に合わせ酢で和えるのが、水っぽく仕上げないためのポイントです。


